熱性けいれんって聞いたことはあるけれどどんなことを言うのでしょうか。
いざ目の前で起きたときに何かできることはあるのでしょうか。
この記事は、熱性けいれんについて簡単にまとめたものとなっています。
熱性けいれんって何?
熱性けいれんとは主に生後6か月~6歳頃までの子どもに起きます。
比較的多くの子どもにみられる病気です。
半数近くの子が繰り返しますが、成長に伴い6歳前後でほとんど起こさなくなります。
はじめて熱性けいれんを起こしても再び熱性けいれんを起こすとは限りません。
再び熱性けいれんを起こす子どもは約30%と言われています。
繰り返し起こしていた子でも小学校に入学する前には起こさなくなることがほとんどです。
熱に敏感な子どもの脳は、風邪などの熱でもけいれん発作を起こすことがあり、38度以上の発熱時に起きるけいれん発作を「熱性けいれん」と呼びます。
特徴のひとつとして、熱の上り際に多く見られます。
ほとんどが発熱後24時間以内以内に起こると言われているのは、体温が急激に上昇するときに起こりやすいためです。
また、家族(親や兄弟姉妹)に過去熱性けいれんを起こしたことがある人がいる場合はそうじゃない場合に比べて熱性けいれんを起こす可能性が高いと思っていてもいいかもしれません。
通常みられる熱性けいれんによって、知能低下や脳障害は起こさないとも言われています。
熱性けいれんの症状
- 突然意識がなくなり、白目をむく
- 身体をそらせるように硬くする
- 手足をがくがく震わせる
- 顔色が悪くなる
- 体の力が抜け、ぼーっと意識がなくなる
- 吐くこともある
これらの症状が見られますが、ほとんどの熱性けいれんは5分以内に自然に止まっていきます。
重篤ではない熱性けいれんを単純型といい、24時間以内に1回のみでけいれんは左右対称です。
顔色が不良な場合は直ちに、それ以外にも5分以上けいれんが続く場合は救急車などで病院に搬送する必要があります。
けいれんが止まったのに呼びかけに反応しなかったり、何度も発作を繰り返す場合も直ちに医療機関へ受診してください。
この場合は、けいれん重積状態またはてんかん重積状態といいます。
熱性けいれん時の対処法
子どもが熱性けいれんを起こすとびっくりしてしまいますが、まずは周りにいる大人はパニックにならないことが大事です。
難しいかもしれませんが落ち着いて対処することが大事です。
子どもの安全第一です。
<気をつけること>
- けいれん中は自由に体を動かす事ができないので、倒れて物などにぶつかってしまわないように安全な場所に寝かせる
- けいれん後に吐くこともあるので、吐いたもので息が詰まってしまったり肺炎の原因にもなりかねないので顔や体は横向きに寝かせる
- あらかじめ医師から投薬指示がでている場合は、それに従う
※ここで注意してほしい事があります。
舌を噛まないように物を噛ませるなど聞いたことがありますが、口に物を噛ませる行為は呼吸をできなくする可能性があります。
なので絶対にやってはいけません。
できる事と言えば、もし可能なら発作が始まった時刻を記録します。
どんなことを記録できるといい?
- 体温
- 熱性けいれんのはじまった時刻
- 継続時間(5分以内なのか、だいたいは1,2分で止まる)
- けいれん発作中の症状(様子)
- 手足ががくがく震えているようなら、左右対称なのか片方なのか、部分的なけいれんはないか(けいれんは左右対称におこる)
- 目に症状が出ているようなら目はどちらを向いているのか
- 意識が戻った時間(けいれんが止まると意識ははっきりする)
これらを観察したり記録したものを担当の医師に伝えることで診断に役立ちます。
熱性けいれんかどうかわからないときは?
熱性けいれんだと思ったら実は違う病気だったということもあるかもしれません。
熱性けいれんとは頭蓋骨内の病気以外の病気が原因で発熱した時に起こすけいれんの事をいいます。
脳などの中枢神経の感染症など、明らかな原因となる病気がないということです。
細菌性髄膜炎や急性脳症、急性脳炎、脳腫瘍、てんかん、低血糖、高アンモニア血症、電解質異常、などの病気と区別することが大事です。
熱性けいれんと診断するためにはこれらの重篤な疾患ではないことをしっかり判断しなくてはなりません。
なので、自己判断せず初めてけいれんを起こした際は救急外来など医療機関の受診をおすすめします。
これまでに熱性けいれんを起こしたことがある場合は、5分以内にけいれんが止まるのか様子をみます。
その際、意識がちゃんと戻ったのかにも注意していてください。
熱性けいれんの予防ってあるの?
繰り返し熱性けいれんを起こす子どもには、予防のために発熱時にけいれん予防のダイアップ座薬を使うことがあります。
このダイアップ座薬は脳や神経に作用し、副作用がでることもあります。
<副作用>
- お酒に酔ったようにふらつく
- 長時間寝てしまう
- 興奮して寝なくなる など
再発がない子どもの方が多いので、多くの子どもでは薬は必要とされていません。
15分以内の単純型熱性けいれんの場合は、何度繰り返してもダイアップ予防の対象にならないことがほとんです。
熱性けいれんについてのまとめ
今回簡単ではありますが熱性けいれんについて調べてみました。
これだけは知っていたらいいのではないかというところをまとめておきます。
<熱性けいれんまとめ>
- 熱性けいれんとは、38度以上の発熱時に起こるけいれんである
- 6歳前後には起こさなくなることがほとんどである
- 発作は5分以内、左右対称のけいれん、発作が止まると意識もはっきりする
- 顔色が不良、5分以上のけいれん、けいれんを繰り返す(24時間以内に2回以上)、意識が戻らない等の際は直ちに医療機関へ受診する(救急車を呼ぶ)
- 発作時、口に物を入れない
- 子どもを安全なところへ寝かせる(吐くこともあるので窒息や肺炎予防のため横向きに寝かせる)
- 周りにいる大人は可能な限り、発作時の症状を記録する
私の勤務する保育園では一度でも熱性けいれんを起こしたことのある子は、検温時の体温が37,5度以上で保護者に連絡し迎えに来てもらうことになっています。
園によって違いもあると思いますが入園を希望する際には、安心して預けることができるように、どのような対応をされているのか確認も忘れずにできるといいですね。